「好きなことは続く、嫌いなことは続かない」
わかりやすいフレーズですが、ものごとはそれほど単純なのでしょうか。
「好きなことだから、やり続けられました」が包含する意味とは?
「好きなことだから、やり続けられました」
ビジネスで成果を出している人やオリンピック選手など、卓越した成果を出している人が口にするフレーズです。
たしかに、シンプル。
好きだから、続けられた。
続けたから、上達したというわけです。
わかりやすいですよね。
それを聞いた私たちは、こう思うのです。
「そうか、好きなことを見つけて、それをやり続ければ成功できるんだ」と。
楽しいことや好きなことだから習慣化が続く。
好きなことをやっていたら、気づいたら成功していた。
だから、好きなことを見つけよう。
あなたにも好きなことがあるはず。
それを見つければ、苦労せずに成果を出せるのだから。
この流れ。
果たして、これは本当にあり得るのでしょうか?
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「そこまで好きではなかった。だからやめる」という結論
仕事で卓越した成果を出す人。
習慣がずっと続く人。
趣味が上達してセミプロ級になる人。
そのような人たちを見ていると、うらやましさを覚えます。
そして、こう思うのです。
「私には、あの人たちのように好きなことはないかもしれない」と。
「あそこまで好きなことがない。だからまだ結果を出せてないんだ」と。
そうして「どうすれば好きなことが見つかるんだろう?」と悩むのですね。
ただ、ここにはトラップがあると思っています。
たとえば、ブログ。
続けるのが簡単ではない習慣かもしれません。
時間がかかる。
ネタもない。
自分の実力不足を味わう。
そうなると続けるのがしんどくなってきます。
そして、こう思うのです。
「ブログを書くのは大変だから、自分はそれほどブログが好きじゃないんだ」と。
私がよく言う「正当な言い訳」です。
まわりから聞くと納得。
それ意外はあり得ないように聞こえるのです。
「それは仕方がないよね」と。
だから「そこまで好きではなかった。だからやめる」という結論になるのです。
でも、真実はちょっと違うと考えています。
たしかに、オリンピック選手たちも好きな部分があるから取りくんでいるはずです。
ただ、あのレベルの選手たちが「好きだから」という理由だけでトレーニングを継続できるでしょうか。
苦しくて涙を流すようなトレーニング。
毎日自分の限界に挑むトレーニング。
それを、単純に「好き」というだけでやりとげられるとは思えません。
そこには使命感やプレッシャーを引き受ける責任があるのだと思うのです。
「好きなことだから、やり続けられました」だけでは語れないものがある。
そう思うのです。
「好きなことだから、やり続けられました」は、趣味ならあり得ると思います。
好きでやっているうちに「趣味歴10年」みたいになったみたいに。
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「一流は退屈に恋している」の意味
オリンピックでメダルを取るレベルの選手たちのインタビューを聞いていると、苦しい時期のエピソードが出てきます。
選手生命が危うくなるようなケガをしたのに、そこから復活する。
長期間のスランプがあり、現役引退まで考えながら継続してきた経緯がある。
調子が悪くて批判を受けながらも、あきらめずにきついトレーニングをやり続けてきている。
そういったプロセス。
95パーセントは退屈できついものでしょう。
淡々とした取り組みの中に、スキルアップやレベルアップがあるのです。
「一流は退屈に恋している」という言葉もあるくらいですから。
達成感や前進感を味わえるのはせいぜい残り5パーセントなのではないかと思います。
そのような退屈な日々の中にも、できるようになったことや自己成長を感じる。
そのわずかな成長を、卓越した人たちは気づくことができる。
それらを感じたときに「好き」を感じる。
ですから、オリンピック選手たちは「好き」だととらえられるのでなないでしょうか。
外側から聞いていると「100パーセント好き」みたいに聞こえます。
でも、本来は「5パーセントは好きで、あとの95パーセントはきつい」ということなのではないか。
そのように考えているのです。
長くなりましたが、このような内容をひと言にまとめると、
「好きなことだから、やり続けられました」
という言葉になるのではないかと考えています。
「好きなことだから、やり続けられました」という耳ざわりがいい言葉は、受け取りやすいです。
ただ、言葉の表面に出ている内容と、その言葉が持っている意味が違うということもありますよね。
それぞれの人が持っている言葉の意味に対する濃淡が異なるように。
さて、あなたは、
「好きなことだから、やり続けられました」
という言葉に、どんな意味づけをしていますか。
この機会に、一度考えてみてはいかがでしょうか。
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■編集後記
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夜は出版に関するセミナーを受講。
また1歩、前に進んでいます。(^^)
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